忍者ブログ
Oh,where is my leg!?
日常でありましたアホらしい出来事を書いたり書かなかったり、愛を叫んでみたり、たまに真面目に更新報告や連絡をしたり。 
[PR] 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

3 馴染んできた

「・・・見苦しいところをお見せしてしまいまして」

「構わないよ」

駅のベンチに腰掛け、俯く。
ははは恥ずかしい、人前で号泣なんてかっこわるいことこのうえない・・・!

「その、お兄さんはどこの出身で?」

「俺は、・・・どこだっけなあ」

お兄さんが頭を掻く。

「ええと、確か・・・そう、群馬。群馬県だ」

「へえ・・・」

「ちとせは?」

「私は、お、・・・」

沖縄です。
そう答えようとして、息が詰まる。

―標準語で、喋ってた、私・・・?

そう、おかしい。おかしい、おかしい。いままで「私」なんて、つかってなかったじゃない、こどもっぽいけど自分のこと「ちと」って呼んでたじゃない。訛り方も忘れてしまったみたいに、恐ろしいくらいすらすらと標準語が口から出てくる。

「・・・ちとせ?」

「・・・私、ちょっとこの世界のことわかりました」

自分なりに考えたことをお兄さんに言う。

「この世界、死後の世界なんだ。私がいままで生きてきたこと、関係なくなっちゃうんだ、きっと。人間の世界とは別物で、また新しく暮らしていかなきゃいけないんだ。だから、生前の記憶も経験も、きえていくんだ」

「・・・惜しいな」

自分の顎を撫でながら呟いたお兄さんを見上げる。

「惜しい。本当に惜しい。後半、この世界についてや記憶・経験についてのお前さんの推測は間違っちゃいない」

「え、じゃあ・・・」

「ここは死後の世界では、ない」


頭がパンクしそう。


「ちょっとまって・・・じゃあ、どういうこと?お兄さんは何者なの、私はじゃあ、死んでないの・・・?」

お兄さんが首をかしげる。

「・・・あ、俺、もしかしてお前に死んだって言ってたか?」

「はい、それはもうはっきりと」

「・・・わりィ、まあ似たようなことなんだが・・・死んだ、ってか・・・」

ひと筋の希望が胸に射す。

「じゃあ、私、家に帰れるの!?」

「いや、・・・多分無理だな」

「じゃあどういうこと?」

「・・・詳しいことはよく解らないが・・・植物状態、みたいなもんだろ」

お兄さんが続ける。

「お前は事故かなにかに遭って、意識がない状態なんだ。どっちかって言えば、死に近いんだろうな。意識が戻ることは多分ないだろう、っていう」

「そんな・・・」

ぱくぱくと口を開け閉めする。言葉を知らない赤子のように、何も喋れない。

「本当なら、死んでたんだろうな。そこを駅長が助けたんだ、きっと」

「駅長?」

「そうだ。なんなら今から会いに行くか?」

こくんと頷くと、お兄さんは私の手をひいて歩き出した。

ここに来てまだ1時間ぐらいだけど、だいぶなれてきたみたいだ。もうきっと、どんなことがあっても、私は殆ど驚かないだろう。

拍手[0回]

PR
2 わたしのじんせい

「まって、まってまってまって!!」

全力で叫んだ。肺活量には自信があるから、おもいっきり。

「ふざけんなよほんとに!息が上がってないのはそれなりに鍛えてるからだっ、私は死んでなんかない!!」

男の人が私を見た。
哀れみを含んだ視線。かわいそうにと、小さく呟く。

「だって・・・今私はここにいるじゃない!!」

感情は昂ぶっていく。体温は、かわらない。
頭にかっと血が昇る感覚。とまらない。

「第一、死後の世界が駅?そんなしょぼい世界、っ、」

男の人が、思いっきり私を抱きしめた。

「こんなに濡れて・・・かわいそうに。おいで、タオルを貸してやる」

「っ・・・」

「・・・ちとせ、っていったか。」

聴こえるか、と。
掠れる声で、彼が言った。


「俺の、心臓の音が。」


は、と気付く。
向かい合わせになって抱きしめられて、こんなに力強く抱きしめられて。
心音が感じられないなんて、そんなこと。

「そんな」

「聴こえないだろ」

「・・・そんな、こと」

かわいそうに。

もういちど、切なげな声音で紡がれた言葉に、諭された。

――真実を見つめろ。もう戻れない。

中学にあがってから多分初めて、大声で泣いた。

拍手[0回]

1 受け入れられない


「死んだってなんですか、私いきてるじゃないですか」

青年に、そう言う。

「・・・どれくらい」

「?」

「どれくらいの距離、歩いてきた?」

「えっと」

「かなり長かっただろ」

「はい」

「水もあるし」

「はい」

「息、あがってる?」

「・・・」

「心臓はばくばくいってる?」

「・・・」


自分の左胸に、手を当てた。


「・・・いって、ないです」

「・・・そりゃ残念」

「・・・わたしは」

「ん?」

「わたしは、どうすればいいんですか?」

「どうって」

「家に、帰れないんですか?」

「そりゃあな」

「私、今週定期テストあるんです」

「へえ」

「成績下がっちゃうじゃないですか」





「関係ねーだろ、死んでるんだから」




ぺた。

思わず、尻餅をついた。


「・・・そんな、」

「お譲ちゃん、名前なんてーの?」

「・・・ちとせ、です」

「そうか、ちとせか」

「・・・お兄さんは」

「俺は、・・・」

「・・・」

「・・・なんだろう」

「なんですかそれ」

「忘れちまったなあ」

「自分の名前をですか」

「死んでもう何年になるかな」

「ほんとはお幾つなんですか」

「23で死んで、ええと、もう30年か」

「・・・53」

「そーだ、今年でもう30年だ」

「成長って止まるんですか」

「らしいな」

「私は14です」

「若いな」

「まだこどもなだけです」

「そう解ってる奴は大人なんだよ」

「お兄さん」

「なんだ」

「けっきょく名前、なんなんですか」

「・・・なんでもいい」

「なんて呼べばいいんですか」

「なんでもいい」

「じゃあお兄さんで」

「好きにしろ」


しんだ。

わたしは、しんだ。







「って信じられるかァァァァァァァァァァァ!!!!」

拍手[0回]

ええと、唐突ですが創作小説のぷち連載を開始しちゃいます。
はじまりとおわりはきまってるんで、ちょっとびみょうなことになっちゃうかもしれませんっていうか十中八九そうでしょうね(おい



券売機の列に並びながら、ふわふわと考える。
(私何処に行くんだっけ)

「やだ、小銭ないじゃん・・・」

ふわ、ふわ。

思考が、意識が、どこかに、流されていった。










ざぶ。

「んぶおおぅっ!!」

は、鼻にみずはいった・・・!!
いたいいたいいたいめっちゃいたいなにこれめっちゃいたい、っていうか、

「・・・ここどこ?」

鼻を片手で押さえてちょっと泣きながら、ぽつんと呟いた。

見渡す限り水、水、水。
私の顎のぎりぎりまで水がたまってる。

(ううん、違う・・・ちょっとだけど、この水、流れてる)

そんな不思議な辺り一面の水にぷち太平洋と名づけて、とりあえず前に進んでみることにした。



「・・・ええぇええぇぇぇ・・・」

目の前に現れたのは、線路だった。

水の上でゆらゆらと漂っている其れは、いくらか私をメルヘンな気分にさせた。
電車が通っていないからいいよね、と、線路の下を潜った。




「っああああ携帯!!!」
慌てて尻ポケットを探る。
・・・あった、あったよ携帯。
「やっべ、これ死んでる・・・」
手にした携帯は、水浸し(当たり前か)。
当然の事ながら、ボタンを押しても反応はなかった。
「あーあ、気に入ってたのに・・・」
どうしようもないので、またポケットに押し戻し、前進を続けた。



「お?」
前に、地面がある。
水びたしになっていない地面。
「よっしゃあ、いそげえい!頑張れ私!」

ざびざびざびざびざびざび

ずばしゃっ、ぼたぼたぼたぼた。

「っほおお、陸だ・・・!」

周りを落ち着いて見回すと、此処が駅であることがわかった。
何駅かは記されていなかったが。

「・・・何してんの?」

男の人の声。

「へ?」

見上げると、黒髪・短髪の、爽やかな青年が立って、私を見下ろしていた。

「お嬢ちゃん、もしかして・・・」

青年が言いづらそうに続ける。

「・・・死んじゃった?」



拍手[0回]

前 次
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[05/15 2-5-1]
[06/04 沖原]
[05/31 霞音]
[05/09 沖原]
[05/05 霞音]
最新記事
(06/04)
(05/27)
(05/26)
(05/23)
(05/21)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
沖原 泡
年齢:
28
性別:
女性
誕生日:
1996/02/04
職業:
中学生
趣味:
吹奏楽
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
ふるみっくす
本棚
忍者ブログ [PR]
 / Photo by 水珠